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August 15, 2006

太陽

渋谷シネパトスで「太陽」という映画を観てきました。

ロシア人監督が撮る終戦直前の昭和天皇のお話で、主演はイッセー尾形。そうです、イッセー尾形が昭和天皇を演じるんです。

いや、イッセーさん好きだから観たいなあとは思いますが、なかなか日本人にはできないキャスティングじゃないでしょうか。お笑いになっちゃうかもしれないし、なっちゃったら刺されそうな気がします。いや、ならなくても刺されるかも知れないとか、ちょっと思っちゃう(笑)

イッセー尾形の演技は、素晴らしいの一言でした。さすが形態模写の第一人者。演技力云々以前に、まず似ている! 他の誰も代わりが思いつきません。侍従長役の佐野史郎も素敵。大好きな役者さん二人の縁起を存分に見ることが出来て個人的には大満足です。

ロシア映画なんだけど、全編ほぼ日本語だし(もちろん、マッカーサは英語をしゃべるし、マッカーサとは天皇陛下も英語でしゃべる)、日本人の目から見ても、天皇陛下は記録映像でみる姿とそっくりだし。御前会議や研究所での様子など、まったく違和感なし。ロシアにセットがあるとは到底思えない出来でした

どの程度、フィクションが交じっているか、あるいはイッセー尾形のアドリブが交じっているかはわかりません。でもどうしても以前観た「ヒトラー 最期の12日間」と比べてしまうと、昭和天皇が、仮にこの映画で描かれたような人物であったとしたら、やはり、ヒットラーや、あるいはナポレオンの様な独裁者と同列に扱うのは不適当であるとしか思えないですね。どこをどう考えても、所詮、天皇は軍人ではないんだよな

当然、ある程度の権力も保持していたし、その責任に苦悩もしてるんだけど、御前会議で発言するのに一句詠んでそれをふまえてみたり(伝わるのか、あれ)、敗戦直前なのに研究の時間が予定に組まれていてカニの標本を眺めていたり、堂々とマッカーサの元に赴き、英語で堂々とやりとりしていたり(天皇陛下は英語でも一人称に"I"は使いません。"I said ..."ではなく"Emperor said ..."の様に、発言します)、おもむろに老子を引用してみたり、待たされてる間、嬉々としてロウソクを消してみたり、写真撮影にポーズをとってみたりと、真摯で、教養もあり、愛嬌もある人物として描かれてます。で、国の最高責任者だから、当然悩んでるんだけど、どうも悩んでるポイントも、どうもずれているような・・・人が何百万人も死んでいるのに人間宣言で悩んでいる場合なのかと思ってしまうのは、私が60年後に生きているからなのかな

映像作品としても、考え抜かれたカットの配置、美しい(それだけにイマイチ残酷さや悲惨さから少し距離を置いている)美術、微かだけどくっきりとしたユーモア(何度か客席から笑いも漏れました)など、誉めるべきところの多い映画です。いい映画。面白いかどうか、それはあなた次第という感じもするけど、間違いなくいい映画ですね。

それにしても、よく日本で公開できたものだとも思います。本当は、日本人の監督が撮るべきだという想いもありますけど。いつか、このテーマをちゃんと日本人の監督が撮って、それを国としてしっかりと引き受けること。そういうことが、靖国に参るか参らないかなんてしょーもないことを国際問題にしないために、必要なこと何じゃないかと、そう思ったりする8/15です。

あ、ちなみにこの映画、結構混んでます。いったい、みんなどこでこんな映画を知って、どういうつもりで観たいと思ったのか、よくわかりませんけど(ま、自分のことは棚に上げてね^^)、整理券もらわないと入れないので、観たい回の2時間前には着いておくことをオススメします。

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