流星ワゴン/重松清
重松さんといえば日本的ウェットなディスコミュニケーションものを書く人という印象があって、「そもそも人と人とはわかりあえない」というペシミスティックな私はいまいち興味を持てなかったんですが、食わず嫌いだったかなあ。いい話でした。
父親とも奥さんとも息子ともうまくいっていない男が、あっちの世界で人生をやり直そうとしたり、父親と再開したりする話です。オトナのファンタジーですね。子供がイジメにあって反抗的になり、妻が浮気して家を出ていき、会社からリストラされ・・・とさんざんな主人公なんですが、「こんなとき、親父だったらどうするんだろう。俺と同じぐらいの歳の親父は何を考えていたんだろう」と考えます。で、会っちゃうわけですが。
私も一人の男としてテーマは重く受け止めるんですが、でも、まだ仕事もぺーぺーで、結婚もしていなければ子供もいない私には、今、自分と同じ年の親父に会う資格はないのかもしれないです。うーん、そっちのほうが問題なんだろうか。親父が30歳のときには、私はもう幼稚園だったもんなあ。
でも、私がすでに結婚して子供もいたとしたら、この本は辛すぎて最後まで読み切れなかったかもしれない。アイテテテ
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