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大塚康生インタビュー/(聞き手)森 遊机

東映動画出身で、旧ルパンや「未来少年コナン」、「カリ城」などを作画した日本のアニメーターの重鎮、大塚さんへのインタビューです。プロフィールや、今までの仕事の話はもちろん、アニメーションの動きというものの考え方、アニメーターとはどのような意識であるべきか、アニメ現場での各ポジションの役割、アニメーターと演出の関係はどうあるべきかなど、非常に面白い話が山盛りです。正直、大塚さんが現役バリバリだったころのアニメにあんまり馴染みはないんですが、それでも、アニメファンとしていろいろと参考になるところ大ですね。

それと、読んでいて思うのはアニメーションとシステム開発の類似性です。どちらも、本質的には、労働集約型産業ですから。

例えば、オフショア開発なんていまごろ言って、インドや中国にプログラム開発を外注することが今、システム開発の現場でははじまっているのですが、アニメの作画を韓国や中国に外注するなんてのは、アニメの現場ではずいぶんと昔からやっていることです。そのクオリティコントロールはどうするのか、SIの現場では全然うまくいっていません。アニメはどうやっているのかといえば、そのクオリティコントロールに責任を負っているのは作画監督で、作画監督は結局、そのまま使えない絵はすべて自分で直すわけです。SIの現場で、上がってきたプログラムを全部みてるかといえば、よっぽどそんなことはありえないわけですが、でも、本質的な解決はそれしかないんじゃないでしょうか。で、それをちゃんとやらない(やれない)と、ヤシガニになってしまうと。

ちなみに、余談ですけど、私、ヤシガニはリアルタイムで見ましたよ。くらくらしました。渡部監督のHPに行ったら、「すいません、今週の放送は見ないでください。ごめんなさい」という悲痛な叫びが書いてあって、胸が張り裂けそうになったものです。知らない人は、ヤシガニでググって見てください。外注から上がってくるのはこのレベル。アニメにおける作画監督というものの仕事がなんとなく理解できると思います。というか、アニメの人達はここまでやるんです。ロクにソースも見ないで外注に文句をいうのはやめましょう(笑)

あとは、演出とアニメーターの関係も興味深いです。演出(アニメの場合は、通常、監督といえば、演出のことです)は、絵を書く人に、こういうものを作って欲しいというのを伝えなきゃいけません。その為の道具が絵コンテです。ところが、監督さんにも絵が描ける人(アニメーター出身とか。宮崎駿監督や庵野監督はそうですね)と、そうでない人(ライター、構成、撮影出身の人。高畑監督や大地監督がそうです)では、やはり微妙な力関係が違います。後者の監督さんは、作画監督やアニメーターに、「じゃあ、お前書いてみろよ」といわれたら終わりですからね。これって、プロジェクトマネジャーとプログラマの関係に似てる(笑)。やっぱり、コード書けるか、書けないかって、最後の最後のところで違う気がしますよね。どこまで突っ込んだ指示が出せるのか、また、出すべきなのかってのにも関わるし。でも、これに関しては、アニメの世界も監督によってまちまちなんだそうです。

最後に、印象深い言葉を引用しておきます

日本でアニメーションがこれだけ盛んで、余所の国ではそうなっていない原因の一つとして、「絵描きが集まって映画を作る」ための組織が他国ではうまくできないという事情があるのかも知れません。絵描きという仕事は、本来、非常に個性的なものですから、組織化すること自体が難しいんですね

「絵描き」を「ハッカー」、「映画」を「システム」に変えると、なんか意味深な言葉になっちゃいますね。そのまま外人がなんでパッケージ、パッケージって言って、日本ではすぐ独自なシステムを作ってしまうのか、ちょっとわかるような気がします(笑)

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