万物理論/G.イーガン
一部でとても有名なイーガン。「タフの方舟」の帯に「イーガンもチャンもわからなくても、この本のおもしろさはわかります」とか書かれるぐらいのイーガン。
あ、そういえば、タフの書評は書いてませんね(笑)
それはともかく、なんかあちらこちらで難解だという話を聞いて、ちょっと尻込みしつつも読んでみなくてはと思っていたのね。学生時代に、講義を受けてた菊池先生も日記で
断言しておく。おそらく『万物理論』は『SFが読みたい』でトップになるだろうが、投票者のほぼすべては作品の意味を理解せずに『傑作』と言っているのだ。おお、なんと恐ろしい。
なんて書いてるし(笑)。
で、まあ、落ちこぼれ理学生だった私が菊池先生のわからんものをわかるはずはないんだけど、しかし、これは面白いわ~。
普通のSFだったら、そのアイデアだけで1本書けるぐらいのオイシいネタがみっちりつまってて、とにかくそのセンス・オブ・ワンダーだけで気持ちがいい。まだ 360/600 ページあたりを読んでいて、やっと最初の話とメインの話が組み合ってドライブし始めたぐらいなんだけど、もうとにかく面白くてしかたなくて、しょうがない。しょうがないけど、読むのに時間がかかるんだ、これ。早くストーリーが知りたいからざっくざっく読みたいんだけど、ディティールを読み飛ばすとなんか後悔しそうなほどぎっちりだから、そう読み飛ばすわけにもいかないのね。
でも、まあこれは誰にでも勧められるものじゃないなあ。例えば、出だしがこうなのよ
「よし。この男性の死亡を確認した。さあ、仏さんと話していいよ」
そういった生命倫理医は無愛想な汎性で、金髪をドレッドロックにし、Tシャツには(中略)のスローガンが輝いていた。汎は法病理学者のノートパッドの認証画面に連署すると、手術室の隅に下がった。
ここで「汎」と「汎性」が、「男」、「男性」って言葉と同じような使われ方をしていて、この世界では「第三の性」として「汎性」というカテゴリーがあるんだろうなってことが推測出来ない人は、まあ、読んでもわかんないからやめといた方がいいよ(笑)。もちろん、汎性については、あとあとでもうちょっと説明があるけどね。
もっとも、菊池先生のいう「理解」は、こういうレベルの話じゃないんだと思うけど
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Comments
そして、まだ読み終わらない。暇がない。うう・・・
Posted by: Tam | November 04, 2005 12:30 AM