スペースシャトルの落日/松浦 晋也
こないだもディスカバリーに野口さんが搭乗して話題になりましたね。なんか、ものすごいことのように報道されてますが、よーく考えるとスペースシャトルって私が物心ついたころから飛んでます。この本によると、初飛行は1981年。航空業界ってプロダクトのライフサイクルが長いですけど、シャトルはなんせ当時の最先端ですから、陳腐化するのも早いハズ。20年以上前から使ってる機体を「ロートル」とまでは言わないにせよ、すくなくとも最先端じゃないよな。
ところが、スペースシャトルの後の機体って今やなんの計画もないわけです。2010年で飛行中止で、生産ラインも92年に止まってるんだそうです。大成功したように見えて、試験機も含めて
- エンタープライズ(試験機。宇宙には出られない)
- コロンビア
- チャレンジャー
- ディスカバリー
- アトランティス
- エンデバー
の6機しか作られてないわけです。大成功なら20機やそこら作っていたって不思議じゃないハズ。
というわけで、スペースシャトルってのは・・・というか、単段式宇宙帰還機ってのは何だったのかという話が語られてます。一口で言うと、スペースシャトルは格好いいけど、機体のコンセプトから設計まで、いろいろ間違ってるけど、メンツがあってそれは言えないだよという話。そのおかげで、宇宙開発がおもいっきり停滞してて日本も巻き込まれてるんだから、今さらロートルのシャトルに日本のスーパーエリート飛行士をやっとこさ乗せてもらって喜んでんじゃないよと。
この話は、何年か前のSF大会でNASDAの人からも聞いたし、あさりよしとおの「HAL」なんかのネタになったりしてるんだけど、意外とみんないまだに「スペースシャトルはすげえ」って思ってるよな。
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