March 23, 2017

マクラーレン・ホンダに未来はあるか

今週、いよいよ2017年のF1シーズンが始まります。

今年はマシンの大幅なレギュレーション変更がありました。マシンの空力に大きく変更を与える変更としては、ルールの隙間を突いたダブルディフューザーでブラウンGPが見事チャンピオンを取った2009年以来の大きな変更です。あのときのような大番狂わせがあるかもしれないと期待をされていましたが、テストを見る限りはそれはなさそうです。というよりは、未だ勢力図は混沌としているというの状態です。

そんな混沌状態から悪い意味で抜け出してしまっているのが、我らがマクラーレン・ホンダ。2年前を彷彿とさせる(とは言ってもだいぶあのときよりはマシだと思いますけど)トラブル続きで、テストの走破距離は完全に低迷。信頼性がないのも痛いですが、パフォーマンスもからっきしということで早くも両者は「別れる/別れない」なんて騒がれてしまっています。

F1だけでなく、日本のSuperFormulaとSuperGT、はてはWTCCでもインディカーでもライバルにすっかりやられちゃっているホンダは本当に残念な感じです。ただまあ、ホンダの場合、何が何でも勝ちたいのかよくわからないところもあります。いや、やっている人たちが勝ちたいと思っていることは間違いないんですけど、それが「何が何でも」なのかというと疑問です。例えば、メルセデスのエンジン部門から人を引き抜くとか、レギュレーションのギリギリを突いた隠し球をぶち込んでくるとか、そういう感じはしません。「面白い問題があるから、解いてみる」という感じに近いんじゃないかなと。

確かに今のエンジンのレギュレーションは、ターボと熱回生、リーンバーン、モーター回生と電池、それらを制御するソフトウェアなどなど次世代に向けて自動車メーカーが本気で考えなければならないテーマの宝庫です。これに正面から取り組むにはF1は格好のテーマでしょう。だからこそ、復帰を決めたわけですし。

それにホンダも今やF1で勝てばドンドコ車が売れるなんて企業ではありません。逆に今のようなていたらくを晒していたとしても、販売にたいした影響もないのかもしれません。ルノー、ダイムラー、フィアットに比べてしまえばそれほどお金があるようにも思えませんし、実際のところ、こんなもんかもしれません。

というわけで、ホンダは非常に危機的だと言われ、まあ、それはそうかなという気もしますが、冷静に考えてみるとホンダにはあんまり失うモノは無いワケです。別に勝っても負けても使うお金に変わりがあるわけでもなし、業績に影響するわけでもなし。であれば、出せるだけのお金で(といっても年間100億円ぐらいは余裕で使っているんでしょうけど)、出せるだけの成果を出せばいい。今回の参戦は長期であると明言してしまっていますから、短期的な勝利を目指して大金をつぎ込んでもいないでしょうし、(できるかといえば、できないでしょうけど)ボロ勝ちしてもだめなわけですし。

今や評判はダダ下りですが、それが気にならないんならあんまり実のところは困ってないかもしれないホンダとは裏腹に、いよいよ困っているのがマクラーレンです。一部の報道では、マクラーレンがメルセデスに乗り換えようとしているなんて報道されていますが、そもそもなんでマクラーレンがメルセデスから海のものとも山のものともつかぬホンダエンジンにスイッチしたのかという理由を考えれば、それは完全に後退を意味する選択肢です。

マクラーレンがチャンピオン奪還を目標に置くのであれば、メルセデスエンジンを積んでは無理です。メルセデスワークスチームが存在する限り。それがマクラーレンがメルセデスと決別した理由です。カスタマーエンジンでワークスを倒すことは出来ない。なぜならば、いざとなればメルセデスはカスタマーエンジンとワークスエンジンの間に差を付けることが出来てしまうからです。マクラーレン・メルセデスとフェラーリあるいはレッドブルがチャンピオンを争っているならばいざ知らず、メルセデスワークスチームとチャンピオンを争っているならば、メルセデスは躊躇なくマクラーレンのエンジンパワーを絞るでしょう。それはそういうものです。

メルセデスワークスがチャンピオンを争える車である限り、メルセデスエンジンを積んでいてはチャンピオンにはなれない。フェラーリエンジンでも同じこと。ルノーワークスはまだまだチャンピオンを争える状態ではないのでルノーエンジンを積んでチャンピオンを目指すことは出来るかもしれませんが、今のマクラーレンがレッドブルよりも良い車を作れるとは思えません。

というわけで、マクラーレンとしてはどうしても「第4のエンジン」が必要で、ホンダはぴったりの選択肢だったというわけ。だから、今からホンダと手を切るということは、さらに別のエンジンを見つけてくるか、「ウィリアムズとコンストラクター選手権4位を争うぞ」に方針転換するかということを意味しています。その選択肢は本当にあり得るのでしょうか。いや、2013年のマクラーレンにとっては、それは「このままいくとなってしまいそうな未来」だったので、それを拒否してホンダと組んだんですが、その選択の結果である現状がそれより悪いわけですから、それを取り返しに行こうとするのはあり得ますけども。

そして、車を何百万台と売ったお金で未来への技術投資をしているホンダと違って、マクラーレンチームはスポンサーからもらったお金で運営しています。ところが、マクラーレンときたら、ここのところのチーム運営はガタガタといっても良い状態です。

メルセデスがブラウンGPを手に入れてワークスチームとして参戦し始めたのが2010年から。マクラーレンはワークスのポジションを失ってからただひたすらに凋落してきました。かつて、ウィリアムズがBMWのワークスエンジンを失ったのと同じ状態です。ウィリアムズの前例を見るまでもなく、ワークスエンジンなしでトップチームのポジションを維持することは大変に難しい。成績の低迷はある意味仕方がないことではあります。

ところが、マクラーレンは自分たちがトップチームであることに頑なにこだわりました。メルセデスワークスを失ったにもかかわらずマシンのカラーリングはシルバーを維持し、なんとホンダエンジンに変わってからもしばらくはそれを維持し続けました。まるで「シルバーは自分たちのカラーだ」と言わんばかりです。そこに、マルボロのスポンサーを失った後、Westのスポンサーカラーをあえてシルバーとして身に纏ったしたたかなマクラーレンの姿はありませんでした。

メルセデスワークスを失ってからというもの、サンタンデールを失った後のメインスポンサーを未だに得られていません。その間にもジョニーウォーカーを失い、タグホイヤーを失い、モービルを失って来ました。少々の間ならメインスポンサーなしでも平気だよ、マクラーレンにはそれに相応しいビッグなメインスポンサーが必要なんだと大口を叩いていましたが、おそらくは大きな割合でホンダに支えられているのだろうというのがもっぱらの噂です。どこのチームも苦労はしていますし、ウィリアムズが纏っているマルティニもさほどの大きな額を持ち込んでいないらしいですが、数年にわたってメインスポンサーが不在というのは酷い有様です。まさか、名乗り出るスポンサーが全くいなかったわけではないと思いますが、何か内部の運営が上手く行っていないのでしょう。ロン・デニスがスポンサー探しを期待してザク・ブラウンを連れてきたことが、何よりの証拠です。

その間、アロンソとバトンのヘルメットのバイザー上のリングは真っ白、レーシングスーツの背中も真っ白。マシンは真っ黒。チームユニフォームも真っ黒。マクラーレン・ホンダを応援する身としては、マシンが速くないならせめて格好良くあって欲しい。チームグッズなどを買って応援したいと思っていても、全く食指の動かないものばかりです。チームカラーとしてマクラーレンと言えばオレンジが知られているんだから、せめてオレンジのカラーリングにすれば少しは格好いいのに。

・・・と思いきや、今年のカラーリングはさらにがっかり。なんで黒を諦められないんですか。黒とオレンジの間に白のラインが入る今年のカラーリングはとてもかっこわるい。オレンジに白抜きのロゴはスポンサーロゴも目立たなく、魅力に欠けます。あれならせめてホンダのロゴの中だけでも赤に塗れば差し色として見た目が派手になると思うのですが・・・。マクラーレンにはコマーシャル部門にデザイナーはいないんでしょうか。

スポンサーがつかない、イメージ戦略が立てられない・・・というチーム運営が欠如した状態で、良いマシンが作れるはずもありません。ホンダが復帰し、マクラーレンと組むと決めたときはマーティン・ウィットマーシュがマクラーレンをリードしていて、「ウィットマーシュに任せておいて、ホンダはエンジンのことだけ考えいれば安心」と感じましたが、そのウィットマーシュがいなくなり、ロン・デニスがいなくなり、ヨースト・カピートは何もしないままいなくなり・・・と人事が安定しないこと甚だしく、人材の流出も止まらないようです。2013年にタッグを組むと決めたときとはチームはすっかり変わってしまったといってもいいでしょう。そんなマクラーレンを事実上引っ張っているのが、エリック・ブーリエですが・・・この人がルノー/ロータスに何をもたらしたかを考えれば、私にはとても期待が持てません。

とりあえず、マクラーレンからリーダーシップが失われた状態にある以上、ホンダから見ればマクラーレンと組んでいるメリットはほとんどないように思います。このまま強引に乗っ取ってしまうのならばそれも良いですが、さすがにマクラーレンはその対象としてはビッグネームすぎるでしょう。ここはペーター・ザウバーの手を離れたザウバーチームあたりをざくっと買い取って、誰か良い外人に運営を任せて(ウィットマーシュ呼び戻せば良いw)、のびのびとF1に長期スパンで取り組んでいけば良いんじゃないかと思いますね。

というわけで、「マクラーレン・ホンダに未来はあるか」というタイトルを付けましたが、今のままでは「ない」が結論となります。そして、それはホンダにも大いに原因はありますが、マクラーレンというチームの寿命が尽きたということでもあるんじゃないでしょうか。正直言って、ロン・デニスがいなくなった後のマクラーレンを継ぐ可能性があったのはウィットマーシュだけだったんでしょう。ロン・デニスがウィットマーシュと仲違いした瞬間に、この未来は決まっていたのかもしれません。

ホンダ、早く手を切った方が良いよ。

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November 28, 2016

F1GP 2016#21 アブダビGP

ついに2016年のチャンピオンが決定しました。ニコ・ロズベルグ、おめでとう!

とはいえ、やはりハミルトンは凄いなと印象づけられる終盤戦でした。マレーシアGPで絶望的なエンジンブローがあって、ハミルトンはいったんはチャンピオンシップを失うことを受け入れたんだと思います。しかし、その状態から「それでもできることはすべてやるんだ」と思いを新たにして最後の4戦。すべて勝つ以外にチャンスはない状況でほんとにすべて勝つというのは並大抵のことではありません。やはり、この人は凄い。

そしてそれができてしまうチームメイトに対して、「すべて2位ならチャンピオン」という条件を成し遂げるロズベルグの精神力も十分にチャンピオンに値します。ハミルトンとロズベルグではやはりハミルトンの方が抜きん出た力を持っていることはもう証明されたことです。しかし、純粋な能力で劣るからといってチャンピオンになってはいけないわけではありません。むしろ、能力で劣るにも関わらず、訪れた千載一遇のチャンスを逃さずに栄冠を勝ち取ったなら、そんなに素敵なドラマはでしょう?もちろん、年間21戦も戦っているのだから、1度や2度の幸運ではダメなわけです。フロックでのチャンピオンはありえない。ロズベルグはF1で歴代2位の優勝回数を誇るグレートドライバーとまったく同じクルマに乗って、3回に1回はチャンピオンになれるほど凄いドライバーです。これは皮肉でもなんでもなく。

そして、この最終戦の終盤に2位でついてくるロズベルグの順位を下げるべく故意のペースダウンをするハミルトンの走りを見て、「ああ、やはり、チャンピオンになるドライバーは違うなあ」と思いました。自分が勝つためならばたとえチームからの信頼を失おうとも、子供の頃からの友情を失おうとも何とも思わない。勝つことが人生の目的になっているんです。アイルトン・セナもミハエル・シューマッハもそうでした。そう思っているからこそ、すべてを捧げて非人間的なまでの努力もでき、無類の強さを身につけることが出来たわけですから。

そもそも、全く同じ状況で後ろを走っているのがロズベルグではなく、セナやシューマッハ、ハミルトン自身だったらどうなっていたか。簡単です。このような戦いを仕掛けられたらすぐに頭のモードが切り替わり、もっともスローなコーナーでまったく曲がれない速度で強引にインに飛び込み、もろともリタイアしてチャンピオンを決めていたでしょう。そんなシーンを何度も見ました!だから、ハミルトンのスローダウン戦略はロズベルグ相手だから成立しているだけで、本来はあり得ない戦い方なのです。

ロズベルグのチャンピオンは、そんなことをしないまともな男がまともじゃない男から奪ったという意味で価値があります。デイビット・クルサードやマーク・ウェバー、ルーベンス・バリチェロやジャン・アレジといった複数回優勝するだけの力があり評価も得ていながらチャンピオンになれなかった偉大なドライバーたちは、みんな真っ当な人間でした。F1のファンは伝説のチャンピオンたちももちろん好きですが、速く勇気があり素敵な1流ドライバーたちももちろん尊敬しています。その中の一人が、いろいろありましたが現役でありながらすでに伝説のドライバーとなった男を同じマシンで破ったんだから、こんなに痛快なことはないのです。

よくやったぞ、ロズベルグ。あなたは偉大なドライバーの中でも、最速の男の一人であり、最高にナイスガイだ。賞賛に値する。おめでとう!

そして、ハミルトン。あなたは本当に伝説のチャンピオンに相応しいドライバーへと成長した。現役最強ドライバーは、アロンソでも無くベッテルでも無く、ルイス・ハミルトン。この男、おそるべし。

さて、来年は長かった09規定マシンががらっと姿を変えます。あんまりレースが面白くなる方向だとも思えないんですが、変わることは間違いない。さて、どこのチームが真っ先に新しい環境の正解の位置を突き止めるのか。2009年のホンダ/ブラウンGPのような番狂わせはあり得るのか。エイドリアン・ニューウェイはいまだに魔法使いなのか。お家騒動のマクラーレンにホンダを満足させる車は作れるのか。フェラーリはまたお家騒動なのか。長かったエクレストン時代はいよいよ終わりを告げるのか。

2月のテスト開始まで、短いシーズンオフですが、皆様、お疲れ様でした。

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October 17, 2016

F1GP 2016#17 日本GP

あれあれあれ・・・

シルバーストーンが終わった段階で今期のチャンピオンがハミルトンに決まりましたと当確を出しましたが、ここにきて大きく変わってきました。

とはいえ、夏休み明けからハミルトンは勝てずロズベルグの優勝が続いていても、まだ前戦のマレーシアGPまではまだ結局のところハミルトンが最終的にはチャンピオンになるんでしょと思ってました。ハミルトンが勝てていないのも、ロズベルグの速さに敗れたというよりはトラブルであったり、スタートプロシージャーの失敗(実際のところ、今のF1のスタートはドライバーの上手い下手とあまり関係しません)であったりで、どうにもツイてないなという感じでした。

そして、マレーシアGPのエンジンブローが仮になかったら。おそらく、2016年のチャンピオンはハミルトンのものだったでしょう。ハミルトンがマレーシアGPを優勝して290ポイント、一方のロズベルグは285ポイント。この状態で残り5戦としての鈴鹿。もう去年の再現しかありえない感じ。

ところが、セパンでのエンジンブローはそうとうハミルトンを精神的に痛めつけてしまったようで、鈴鹿に現れたハミルトンはすっかり毒気が抜けたような感じになっていました。木曜日の記者会見ではすっかり拗ねて質問に答えず、日本メディア向けのインタビューでは「日本に住みたい」などと見ている日本人が全員「嘘つけ」とツッこむような回答をし、イベントもリラックスして「僕は昔、空手をやっていたから日本語で10まで数えられるよ」とサービスしたりしてました。機嫌は良さそうだけど、ちょっと違和感を感じました。あれ?もしかして、ハミルトン諦めちゃった?

というわけで、今でも速さはともかく強さではロズベルグはハミルトンに全くかなわないと思っているので、ハミルトンのモチベーションと二人の運勢次第ではハミルトンにもチャンピオンの可能性は十分あると思います。しかし、どうやらハミルトンの中では今年は終わっちゃったっぽい。まさかの当確からの逆転になってしまいそうです。まあ、あれだけ壊れればしょうがないかな。

さて、鈴鹿でのもう一つの話題といえば、ホンダのまさかの惨敗です。雑誌に掲載された長谷川さんのコメントによると、シミュレーターで出ていたタイムがまるで出なかったらしく、イニシャルのセットアップが大外れで、そこから戻せないまま終わってしまったご様子。鈴鹿はセットアップの妥協点を見つけるのが難しいサーキットとして知られていますが、その鈴鹿に持ってきた途端に他のサーキットよりガクッと戦闘力が落ちるということは、よほどセットアップの幅がないマシンだということなのでしょう。こういうキャラクターは意外にずーっとチームは引きずるものなので、来年のマシンも心配です。

さて、最後におまけ。WEC富士でのトヨタの優勝おめでとうございます。他では勝てないけど富士では勝てたということは、トヨタが正にサルテサーキットに照準を絞っていた証拠で、ル・マンでのあわやの優勝が決して運のなせる業ではなく、狙って取りに行ったものだったという証明になったのではないでしょうか。しかし、最終スティントに新品タイヤを履いてペースに勝るアウディの、それも日本育ちのロイック・デュバルを抑えてトップを守り切った小林可夢偉は素晴らしかった。なんだろうな、このホンダとトヨタの明暗は。

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July 12, 2016

F12016#10 イギリスGP

今年は全然F1の感想を書いてませんけど、楽しく観てはいます。

まあ、もうF1はオワコンだというのは変わらないですが、それと私が好きで観ているのは別の話ですから。今年も例年と変わりなくF1は面白いです。

とはいえ、今年はインディ500マリルもル・マン24時間も、歴史に残るとんでもないレースになってしまい、そっちの感想を書けよって感じですけど。インディはラスト3周になっても誰が勝つのかワケがわからないという超ドキドキのレースで「おもしろかった!」しかないです。ほんと、インディは運ゲー。

ル・マンは、あの衝撃のラストから立ち直るのに1週間ぐらいかかりました。25年以上モータースポーツを観てますけど、あんな可哀想なレースはみたことないです。まだシリーズ戦ならあんなことがあっても次にがんばろうって言えますけど、ル・マンは本気で1年に1回しかないですから。WECの次戦で勝っても、たぶんなんの慰めにもならないでしょうね。心が痛すぎて、何にも言えません。

さて、前置きはそのぐらいにしてF1ですが、皆様にお知らせです。

今年のチャンピオンが決定しました。ルイス・ハミルトン、三連覇おめでとう。

思えば私、去年は開幕戦で当選確実を出しましたから、今年のロズベルグはずいぶんと頑張った方です。ハミルトン11勝、ロズベルグ5勝でその他のチームが3勝と予想してますね。実際は10-6-3だったので、おおよそ予想通りだったといえるでしょう。

ところが、昨年の最終戦以降、今年の開幕4戦目まででロズベルグは7連勝。F1を長く観ていますが、7連勝してチャンピオンになれないドライバーがいるとか考えられません。考えられないんですが・・・どうも「今年はロズベルグだね」とは言えない感じ。そして、第9戦の最終ラップで無様にトップを奪われるロズベルグを観て、ああ、今年も結局はハミルトンなんだねと悟りました。

あんな負け方するドライバーはチャンピオンになっちゃいけません。チャンピオンたるもの、ポイントリードをしているときにあのようにアウトからチャレンジされたら、がつんとクラッシュして2台まとめてリタイアするぐらいのスピリットがないとだめ。ポイントリードされているドライバーはクラッシュしてノーポイントに終わるのが一番痛いんですから、あそこでアウトから並んでくるなんていうのは舐められている証拠です。あれはダメだ。

というわけで、ホントのところはオーストリアGP終了時点での当確です。イギリスGPはもうロズベルグはまったくいいとこなしでした。ありゃりゃ。

ロズベルグは残り11戦で2つか3つぐらい勝つかもしれませんが、もうハミルトンでキマリです。今年は面白くなるかと思ったのに、ホントにがっかりです。

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March 17, 2016

F1が死んでいく

トヨタが撤退したときに、「トヨタは真っ当な企業だから、F1は相応しくないなあ」と感じました。前年にホンダが撤退したときには非常に残念に感じたんですが(ホンダは良くも悪くも真っ当じゃ無い感じが魅力の企業なんで)、トヨタの判断は正しいと思った。モリゾウ社長は、F1にWECやWRCなどのトップカテゴリーでのトヨタの活動を大きく推進しながらF1には目もくれません。もっとも、ケルンのトヨタの風洞は多くのF1チームが使用していますから、車体だけなら今でもできるレベルにはいるんでしょうけど、しないでしょうね。

その時点で世界で最もF1を愛していると世界が認める数%を除いた日本人にとってのF1は終わりました。日本はF1を見放しました。だって、理不尽で不可解でつまらない世界だから。

レースファンにとっても、もうすでにF1が無くても日本にはSFとSGTという2つの大きな自動車レースのシリーズがあり、年間15戦程度はレースが楽しめます。あまり人気が上がってこないと言われてはいますが、野球とサッカーを除いた他のスポーツで比較すれば、誰もが学生時代に接したことがあるテニス、バレーボール、バスケットボールや世界では熱狂的なファンがいるラグビー、アメフトと大差なく固定的なファンがいて、まあ、リーグを続けて行くには問題ないレベルで運営されています。

ただ、本来であればトヨタの撤退と共にシートを失うはずであった小林可夢偉が奇跡的な幸運をつかみ取ってそれから数年活躍してくれたおかげで、少しだけ日本とF1のつながりは維持されました。その間にもF1は緩やかに死んでいきました。

誰のためかわからない思いつきのようなレギュレーションによって、ノーズには変な段差がついたり、へんな突起が付いたりするようになりました。これまでさまざまな奇妙なマシンが開発されましたが、それらは何らかの機能に基づくデザインでした。しかし、ここ数年のマシンの変化はただレギュレーションを満たすだけで、それも意味があるんだかないんだかわからない物でした。機能に基づかないデザインは醜い。シンプルな理由でF1マシンは魅力的な外見を失っていきました。

そして、F1はどんどんとファンがいないところで開催されるようになりました。開催権料を稼ぐため、F1開催という権威を求めてそもそも自動車レースのファンがいないようなところでF1が開催されています。がらがらのスタンドが移る度に、F1が魅力のないものであることをアピールしているようです。一方で4年連続でチャンピオンになったドライバーと、2年連続でダントツのコンストラクターズチャンピオンになったチームの母国であるドイツでF1は開催されなくなりました。開催権料が高くなりすぎて、チケットが高額化し、ファンの心を失ったからです。

私はF1を25年見続けてきたものとして、F1はまだまだ魅力的だと思います。マシンデザインにおける創意工夫をみる楽しみ、レース戦略、個性的なドライバー達。何も変わっていないとさえ思います。

しかし、F1という興業の運営には疑問を抱かざるをえません。

現地のことをまったく考えない開催時間は毎回のようにスコールで中断されるGPを産みだし、別のGPではヨーロッパ時間にあわせて午後遅く始まったレース終盤、薄暗くなった中の雨のグランプリで20年ぶりの死亡事故を招きました。

テストを制限し走行時間が減らされて露出が管理されたことにより、F1マシンが走っている姿をレース中継以外でみることはなくなりました。マシンの走行映像をCMですら使えないことにより、スポンサーは減りました。

複雑に絡み合ったお金の問題は、F1へのステップアップの道を閉ざしました。ダントツでGP2のチャンピオンになったドライバーがシートを得られず、何の実績も無いチームの育成ドライバーがデビューするようになりました。日本の若いドライバー達はF1という言葉を口にしなくなりましたが、それは世界的な傾向かもしれません。努力が報われないF1はレーシングドライバーがみる夢の世界ではなくなりつつあります。

コスト削減が叫ばれる中、マシンの耐久性はどんどんと引き上げられました。レース順位間のポイント差が小さくなったため、リタイアのリスクが高まり、マシンはどんどん壊れなくなりました。その結果、下位チームが番狂わせで活躍することは難しくなり、毎回、同じメンバーが上位に来るようになりました。接触でポイントを失うリスクは高まり、バトルは敬遠されるようになりました。

そうやって、F1は少しずつ熱を失っていき、世界的に視聴率は低下しています。日本が見放したF1は、同じように世界的にも見放されつつあります。

そして、今年、ついに日本ではF1のレース中継が無料では観られなくなりました。地上波のF1中継はなくなっていましたが、BSフジに移ったことでむしろ全国的には見やすくなっていたかもしれないぐらいでした。しかし、今年は中継がありません。伝え聞くところによると、フジは放送したかったのですがアジアのF1放送権をFOXが押さえ、そこから権利を買うことになった今年は、契約上、無料放送ができないのだそうです。

これも、F1のプレミア感を高めたいF1の興行側の思惑なんでしょうが、これで日本のF1はとどめを刺されたといってよいでしょう。F1に興味を持ちだしたのは、みなさんたいてい、中学・高校のころなんじゃないですか。その頃に、もし有料放送でしかF1を観られなかったなら、F1のファンになっていたと思いますか?もう日本では新しいファンの拡大は望めません。そんなスポーツにお金をだそうという人もますますいなくなるでしょう。さようならです。

人気低迷を受けて行われる来年のレギュレーション変更では、F1のスピードアップが図られるそうです。今のF1は遅いので人気がないと思っているらしい。馬鹿な・・・。フォーミュラEのレース中継をみたことがないんでしょうか。テレビ中継で観ている人にとって、どんなにストレートで速かろうがカメラが追いかけて画面の中央にマシンが移り続けている限り絶対的な速度はわかるはずがありません。

また、遅かろうが、相応に運転の難しい車、技量の試される車、体力の要求される車は作れます。速いだけの車なんていくらでも作ることが出来ます。F1マシンの数十分の一の価格のSFマシンで、F1の予選最下位には勝てるんですから。このレギュレーションを作成したテクニカルチーム自身が、「言われたからやったけど、これでレースはたぶん面白くなくなる」と言ってはばかりません。何をやっているんだ!

大好きだったF1 PODCAST、「F1のすくつ」は昨年お休みしていました。今年は復活してくれたんですが、パーソナリティからまさかの「今年はレース中継を観られない人が多くなる。じゃあ、私も観ない」宣言が。うー・・・、わかるよ。わかるんだけど、なあ。

しかし、死んでいくものは仕方が無い。どんなエンターテインメントにも寿命はある。死んでいくF1を今年も看取っていきたいと思います。F1GP 2016シーズンは、明日開幕です。

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October 26, 2015

F1GP #16 アメリカGP

ハミルトン、3度目のチャンピオンおめでとう!

・・・まあ、開幕戦直後からこの結果はわかってたわけですけども(笑)、やっている本人にとってはものすごいプレッシャーと戦いながら苦しんで得た結果なのは間違いないわけで、今日は存分に飲んだくれていただきたい。

それにしても、結局、ミスしてトップを奪われてしまうロズベルグが、今シーズンを象徴してました。役者の違いなんですかねぇ・・・。もちろん、ハミルトンがまったくミスをしないってわけではないですけど、「ここぞ」という場面でやっちゃうかどうかの差なんですよね。

表彰台の控え室でも、表彰式でもハミルトンは大はしゃぎ。一方のロズベルグは本当に落ち込んでいてかわいそうでした。無邪気に2位のキャップを投げてきたハミルトンに、不機嫌そうに投げ返したり、号令より先にシャンパンを開けちゃったハミルトンに対して、ロズベルグはシャンパンを開ける気にもならずにパディ・ロウに手渡したり。本当に辛いんだろうな。

その他の見所は・・・えーっと、ライコネンはそろそろ引退した方が良いかもしんないっすね。

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October 04, 2015

F1GP2015 #14 日本GP

日本GPはいいですね。現地に行くのはとても楽しいけど、行かなくても毎日CSの放送を見たり(現地に行っているとこれが観られないのが辛い)、現地組のツイッターを眺めたり、すごくお祭り感があります。

というわけで、今年は自宅観戦。またLuminusとKurumicsを呼んで、わいわい言いながら観戦しました。日常的に(といっても、年に1度なんだけども^^;)遊ぶ友達って、今となってはこの2人とnacしかいないわけで、改めて自分の交友関係の狭さを感じます。うはは。

さて、ベルギー以来、感想を書いてなかったわけですが・・・まあ、もう書くことないです。チャンピオン争いはもう、オーストラリアの時点でハミルトンにおめでとうって書いちゃったしね(笑)。そして、毎戦、ホンダのパフォーマンスは叩かれて、「今回もダメだった」って言われ、なんだかどんどんとエスカレートしているみたいです。けど、そんなのベルギーでダメだったらもう今期はダメなのは自明なことであって、良くなるはずなんてないんだから。

マクラーレンは本気で苦しんでいるみたいなんですけど、でも、そんなことわかっていたわけです。何を夢観ていたんだか。でも、1年前のマクラーレンに他にどんな選択肢があったかというと、メルセデスを積み続けることだけだったわけです。

仮にその選択肢を選んでいたらどうなっていたか。一番良くて、今のウィリアムズの様にメルセデスにダブルスコアの差を付けられての3位。妥当なところは、一昨年と同じく、フォースインディアとロータスを相手にコンストラクター5位争いをしていたことでしょう。往年のウィリアムズを知るものからすれば、今のウィリアムズはエンジニアリングもタクティクスも2流になっちまったなあと思いますが、マクラーレンはもっと酷くて、ろくなマシンも作れずにハミルトンに愛想を尽かされるようなチームなんです。

ハミルトンが移籍したとき、あの時点でメルセデスに移籍するのは思い切ったなーと思いました。あの当時のメルセデスチームは決して一流とは言えないチーム状態でしたから。ただ、その時点でもマクラーレンが徐々に凋落していることは容易にわかったからこそ、出て行くこと自体に違和感はなかったんですよね。

そんなマクラーレンが去年の時点でホンダと組むと決めたとき、今の状況を打破するためにワークスエンジンを求めるのはマクラーレンにとって妥当なことだと感じました。逆に、ホンダにとっては苦難の道です。ホンダとしては、どうせダメな初年度は中堅以下のチームと組んでじっくりやりたかったはずです。実際、第3期はティレル改めBARと組んでました。もっとも、トップチームがいきなり新しいエンジンを積もうとする方が珍しいわけですけど。

なので、マクラーレンとしては自業自得でしかないんです。ですが、では、もしホンダと組んでいなかったら長期的には何が起きたのかと言えば、今、まさにレッドブルに起きていることが起きたでしょう。つまり、エンジンの種類が足りません。ワークスエンジンを得なければチャンピオンにはなれないのだとしたら、マクラーレンはホンダを口説き落として新規参戦させてでもワークスエンジンを得なければならなかった。大コケするかもしれない。でも、やらないとチャンスはない。

もしかしたらレッドブルはフォルクスワーゲングループに対して同じことをしていたのかもしれないんですが、その試みがあったとしてもディーゼル問題でふっとんだハズ。来年のエンジンがどうなるのかを考えると、ちょっとF1全体として頭が痛いことですね。

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August 26, 2015

F1GP2015 #11 ベルギーGP

夏休み明けのスパ・フランコルシャン。伝統のサーキット。ここのレースは毎年、ただオー・ルージュを駆け上がるマシンを見るだけで興奮してきます。

とはいえ、今回の注目はただただホンダはどこまでくるのか、でした。メルセデスが勝つことと、ハミルトンが勝つことは、まあ知ってたし(笑)。で、結果は・・・何一つ良くなっていません。おーまいがー。

F1において、進歩しないことは後退を意味します。毎戦毎戦、少しずつマシンは速くなり、開幕戦と最終戦では大きな差ができます。ところが、中位から下位のチームは資金的な問題からシリーズ中盤以降開発が止まってしまうことがあります。よいマシンを設計して序盤には番狂わせを起こしていた中堅チームが、後半戦にはいつものポジションに戻ってしまうのはよくあることです。

で、ですよ。漏れ聞こえる限り財政的な問題から、フォースインディア、ザウバーそしてこのレース後にマシンが差し押さえられるかも(!)と言われているロータスなんて、大したアップデートがあるはずないわけです。一方、マクラーレンは(メインスポンサーがいないのは気になりますが)、初期コンセプトでダメダメな車を作ってもシリーズ中盤以降にはちゃんと競争力のあるマシンに仕上げてしまうほどの開発力のあるチームです。

なのに、後ろはマノー・マルシアだけってどーゆーことなのよー。

まあ、スパはちょっと変わったサーキットで、上で「ろくな開発がされてない」と書いたロータスのグロージャンが表彰台にあがり、フォースインディアのペレスが4位に来ちゃうような結果なのでこれがマシンの実力か?という感じもありますけど、それにしても・・・。開幕戦の結果は私は「まー、そんなものかも」と予想の範囲内でしたし、そこから数戦でなんとか(マノーは抜いて考えての)最下位、グループのどんじりまで持ってきたのはさすがだと思ってました。

しかし、いくら何でも11戦目でそのポジションとまったく変わらないとは思わなんだ。うーむ・・・。

新井さんがレース後のコメントで、「ここスパは、我々にとってエネルギー収支の厳しさが現実として予想以上であったと思います。」という発言をしていて、今回のマシンでトークンを入れたのがICUだということを考えると、KやHがまだまだ足りないという話なのか、パワーユニットのマネージメントがダメだという話なのか、そういうことなんだろうと思いますけど、それにしてもちょっとキツすぎやしませんかね。

というわけで、ここでこのポジションならもう今年は巻き返すのは無理でしょう。来年だぁ、来年!

とはいうものの、いじれる範囲は限られており・・・。シーズン中の開発を制限するのはまだわかりますが、来年もいじれるところが制限されているのはよくわからない。そんなのコンペティションじゃないと思いますけど。来年使うエンジンのホモロゲーション期限を設けて、そこまでの開発は無制限にしないと技術の発展を阻害しますよねぇ。なんだかなあ。どうなっちゃうんでしょう。

最後に。ポコノでのインディーカーレースの録画も観ました。インディーのオーバルのレースでは珍しくもないのですが、相変わらず身の毛もよだつような激しいクラッシュが幾度も起きたレースで、リスタートで7台の車が横に並ぶ(7ワイド!?)シーンまである、スリルとデッドヒートのふんだんな面白いレースでした。そんななか、ジャスティン・ウィルソンの死んだ瞬間はクラッシュしたマシンの破片の中をマシンが通過しただけの、ありふれたシーンにしか見えませんでした。マシンがウォールに激突して粉々になったわけでもなく、タイヤが接触して宙を舞ったわけでもなく。ただ、パーツがヘルメットに当たってしまった。それだけだったようです。

あの程度のことで、ドライバーが死ぬんだというのは、頭でわかっていてもショックでした。ダン・ウェルドンの事故のショックも和らぐ中、去年、そして新しいエアロパーツで挙動が不安定な方向に向かった今年のインディーカーは許容できるスピードとコントロール性から外へ出てしまっているのではないかという議論はありましたし、実際、大きな事故が起きる頻度も高まってしました。そういうことを鑑みればこの事故は、「予兆のあったもの」と言えなくもないのですが、それにしてもあっけない。あんなシーンなら毎週観ているよと言いたいレベルの事故です。それでも死亡事故になる可能性はあるのです。辛い。

あれがインディ特有の事故とは思えません。実際、F1ファンはみんなフェリペ・マッサの事故を頭に思い浮かべたはずです。前の車から脱落したスプリングがヘルメットに直撃したあの事故でマッサが命を落とさなかったは単なる偶然なのでしょうか。それとも、インディのスピードが事故を危険な領域にさせたのでしょうか。私にはわかりません。そもそも頭部をむき出しにしたフォーミュラのレースはやめるべきだという意見まであり、F1のオールドファン(と自分で思っているわけではないですが、25年も観ていればそう呼ばれてもしかたないんでしょうね)としては受け入れがたいことです。しかし、今回の事故を防ぐために何ができるのかを考えると、明確な対策も反論もなく「危険かもしれない。しかし、それがフォーミュラカーであり、究極の速く走る事だけに特化したマシンとレースで、みんなそれが好きなんだ」と言うしかありません。しかし、リスクを負っているのは観ている私ではないのだから、何も言う資格などないのですけど。

F1での事故ではないにせよ、最高のテクニックを持つはずのF1ドライバー達の事故死のニュースをこう立て続けに聞くと、たまらないものがあります。常にリスクはあり、いつか死亡事故は起こるものだとわかってはいても、F1、インディ、WEC、GP2、SF・・・その他のすべてのカテゴリーで、もうしばらくは死亡事故の話は聞きたくありません。今回のような事故を目にすると、我々はもちろん、実際にレースをしているドライバーもチームも興行主もFIAも、やれることはすべてやったとしても最後には幸運に頼らざるをえないのだと思い知ることになります。祈るしかないのであれば、祈りましょう。ジャスティン・ウィルソンのご冥福と、これ以上の死者が出ないためにためのほんの少しの幸運がすべての事故に伴いますことを。永遠に終わらないポコノのレースをまだ戦っているのかもしれないジャスティン。どうか安らかに眠って欲しい。

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July 15, 2015

フォーミュラEには見所がある

去年の秋に開幕したフォーミュラEの14/15シーズンが、先週のロンドン2連戦を持って閉幕。初代チャンピオンの座は、セバスチャン・ブエミの猛追を退けてネルソン・ピケJrが手に入れました。

さて、20年来のF1ファンから見た、フォーミュラEの総括をしたいと思います。

主な観点は「レースのおもしろさとは何か」です。

今、世界的にはF1の人気が下がっています。主催者側もいろいろ気にしているらしく、どうにかしようといろいろ考えているらしいのですが、その一方で、この数年で行われた変更は

  • クラッシュ時の危険を減らすべくフロントノーズを細く低く制限した結果、マシンのさきっぽにルールを守るだけのための勃起突起が出て、マシンが過去20年間で最もかっこ悪くなった。
  • 「ドライバーがアホにみえるから」という理由で、(せっかくファンサービスとして無線を公開してるのに)ピットからドライバーに無線で教えて良い情報を制限した
  • エンジンメーカーが技術競争しに参戦したくなるような先進的な技術が盛り込まれたエンジン規則を導入した(結果、ホンダはそれに意味を見いだして参戦した)のに、年間19戦で4機しか使えず、技術開発しても新しいエンジンは使えない。
  • 先進的エンジンはそれ故に壊れるが(それは仕方ない)、壊れて5機目を入れると20台しか走っていないのに予選順位が25位下がる。
  • 「ドライバー視点の車載カメラから見たときに、誰が乗っているかファンがわからないから」という理由で、カーナンバーを固定制にして、ヘルメットの頭頂部に書き、ヘルメットデザインを変更してはいけないルールにした(字幕だせば済むんじゃ・・・?)
  • エコが大事なので、ハイブリッドカーにしたら音が静かになったので、排気に拡声器をつけようとした(が、あまり効果がなかったので止めた)

やれやれですね。

その一方で、初めての電気自動車でのフォーミュラレースとして開催されたフォーミュラEには、開幕前に多数の疑問が投げかけられてました。

  • F1とは話にならないぐらい遅い(F1の下のカテゴリーのGP2やスーパーフォーミュラはおろか、その下の育成カテゴリーであるF3よりさらに遅い)
  • レースファンが大好きな、エンジン音がしない
  • 電池が30分しか持たない(ので、途中で車を乗り換える)

はたしてこれで世界選手権を名乗るレベルのレースが出来るのか。

しかし、レーシングカーのスピードや技術の高さとレースのおもしろさというのは、本来まったく関係ありません。例えば、野球というゲームを観戦することを考えたとき、メジャーリーグと日本のプロ野球、さらに高校野球や近所の土手の上から見る草野球の間に、観戦者からの魅力という点では大きな差はありません。へたっぴどうしの野球も、それはそれで面白い。

ところが、例えば高校野球にイチローが入ったとしたらどうでしょう。そりゃ、イチローがいるチームが勝つに決まっています。これはつまらない。リーグの上下が必要な理由の1つはこれです。

この観点で言えば、フォーミュラE初年度のドライバーラインナップはかなりのものでした。というか、初年度参戦ドライバー35人(スポット含む)の中で、F1参戦経験者は半分の17人。その他も、インディーカー、スーパーフォーミュラ、GP2などで活躍しているドライバーが大半で私が名前を聞いたことがないドライバーはほんの数人でした。

また、プロ野球では高校野球で許されている金属バットが使えません。プロ野球選手が金属バットを使って試合をしたら、ホームランが簡単になりすぎます。同じように、F1ドライバーがVitzでレースをしても、ミスをする要素がないので面白くないでしょう。

こちらの観点では、空力のほとんど効かない車で、タイヤもスリックではなく溝ありでグリップは最低レベル。なのに、モーターですからパワーはなくてもトルクはめちゃめちゃあって乗りづらい車。開幕当初はみんなばんばんクラッシュしていました。ところが、さすがトップレベルのドライバー達、あっという間にモノにしました。例えば、最終戦にスポットで山本左近が出場しましたが、フリー走行も決勝もクラッシュしてしまいました。「なんだよー、がっかりー」と思いましたが、思い返せば序盤はみんなあんな感じだったわけで、元F1ドライバーといえどぱっと乗って乗りこなせるマシンではなく、また、さすがF1ドライバー達は、シーズンを通じて乗りこなしていきます。そういう意味で、ちょうどいい車だったのではないでしょうか。

そんなわけで、すくなくともTVで見ている限りはなかなか面白いレースが見られたように思います。音の問題は、TVだとさほど関係ないですし、大きな音がしないことで市街地開催ができるのであれば、それは十分に見合ったトレードオフでしょう。

まあ、今後、競技形態もマシンもどんどん変わっていくのでしょうから、今年のフォーミュラEが面白かったからといってこの先の保証はないんですが、来年も楽しみにしたいです。

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June 16, 2015

何も起きなかったル・マン

今年もル・マン24時間レースが終わって、夏がきました。

ポルシェの圧勝に終わった、今年のル・マン。とにかく、ポルシェは壊れませんでした。こんなに壊れないル・マンを見たのは初めてです。

昔々(といっても、私が知ってるのはポルシェ・メルセデス・トヨタ・日産が激しくGT1カテゴリーで争った90年代ですが)、ル・マンというといかに壊さないように走るかの勝負でした。普通に24時間走らせると壊れてしまうレーシングカーを、壊れないぎりぎりで走るのがドライバーに求められる技術でした。

4大ワークスの激闘が華々しく散った後の2000年代ワークス不在の時代をアウディが支え、昨年までずっと勝ち続けてきました。この時代のアウディ(といっても、チームはポルシェワークスを支えていたチーム・ヨーストなのですが)の戦略は、「壊れてもあっという間に直す」です。

ぶつけても致命的には壊れない構造と、ピットに帰ってきてくれさえすれば、どこが壊れていようがあっという間に直すメカニックたちが連戦連勝を実現し、トム・クリステンセンのル・マン9勝という唖然とするような記録を作り出しました。21世紀になってからアウディはたった2回しか負けてません。

さて、ル・マンのレギュレーションがハイブリッドになり、ハイブリットには一言あるトヨタさんが参戦するものの、速くなかったり、速いけど壊れたりで勝てないまま、ポルシェも去年からやってきて、今年からは日産もやってくるという、20年前のあの激闘再び・・・というのが、ここ数年の流れ。

ポルシェは去年の参戦初年度から結構速かったんですが、いいタマ入れ立ての2年目トヨタには勝てず、アウディは地道アップデートで勝負できず、でも、ル・マンは勝っちゃってトヨタさん涙目。シリーズチャンピオンは取ったものの、今年、忘れ物を取りに行くぞ・・・と意気込みだけはあったんですが。

もともと速かったポルシェが本領を発揮しまくり、 爆速。アウディも大幅にアップデートして速さを増したもののポルシェには一歩及ばず。トヨタは去年、壊れた反省から信頼性重視のアップデートにしたら、他が速すぎて話にならない・・・というのが今年の流れ。ただ、WECのここまでの2戦はアウディが総合力、特に極まったドライバーのワザマエで大健闘です。

さて、この流れで行くと爆速のポルシェがぶっ飛ばすものの、数時間ごとにトラブルがでて、10分止まり、また15分止まり・・・しているうちにアウディといい勝負をする・・・というのが、戦前の予想だったんですが。

まったく壊れませんでした

ポルシェ、アウディ、トヨタのどこも壊れませんでした。

いや、なんだろう。壊れつつ、直しつつ、総合力で戦っていくのが耐久レースなんと違うの?まったく壊れずに50分のスティントを26回やっただけだと、それは単にF1レースを13戦連続で見たようなもので、なんだか期待していたものと違うんですけど・・・。

あ、ニッサンは壊れてました。これでもかと壊れてましたが、そもそもLMP2より遅いので居ても居なくても同じでした。何をしに来た・・・。せめて、壊れるんなら速く走れよ。

しかし、壊れないレースはつまらないですなあ・・・。人もマシンもぎりぎりで頑張る様を見るのが素敵なんだと思うんですけど、どうもね。

マシンが壊れなくなった理由は、もちろん20年前に比べて製造技術が進歩したってこともあるんですけど、経費節減のためにコンポーネントの耐久性を引き上げているからです。昔、レーシングエンジンといえばレースを走りきると同時にブローするのが理想なんていわれたものですが、今のF1では年間19戦を4機のエンジンで戦います。そりゃ、壊れるわけがない(いや、F1はけっこう壊れてますけど・・・)。

もっとも、今年のポルシェが壊れなかったのは、実際、他メーカーと差が付きすぎたので、マージンを取って走っていたからなんでしょうね。限界ぎりぎりまで使って走っていたら、やっぱり何かしらのトラブルは出たはず。トヨタは見込み違いで悔しい思いをしているでしょうな。なんせ、決勝24時間を全部予選タイムで走っても、勝てないんだから。

とはいえ、相変わらず他メーカーはどこも持ってきている3台目を持ってこないトヨタの本気度は疑われてますけど。今年は解説陣も辛辣でしたよ。由良さんはトヨタを「去年の車で勝てるわけないでしょ」、ニッサンを「遅すぎ。他メーカーに失礼だよ」とばっさり。長谷見さんも「来年3台目を持ってこないのなら、出なくていいと思う」。うーん、厳しい。しかし、来年にはWRCもやるわけで、どうなのかなあ、トヨタ。

確かにフロントの造形を見比べると、トヨタTS040とポルシェ919、アウディR18では世代がひとつ違う感じです。フロントのフロア面から面一でボンネットがあるTS040に比べて919やR18はそこにフロントウィングがあり、そこで整流された空気がフロントタイヤ後ろへのトンネルへきっちり導かれてるんですよね。あたかもマクラーレンMP4/6とウィリアムズFW-14を並べたかのような、同時に参戦したマシンだけど世代がくっきり違う感じがあります。うーん、まあ、これじゃ勝てないかな。

もっとも、完勝のポルシェも総合優勝したのはレギュラーじゃない3台目のマシンで、ル・マンを初めて走るニコ・ヒュルケンベルグ(前の週はカナダでF1に乗ってました)が勝っちゃったのは、レギュラーのメンツからしたら面白くないのかも(笑)。

しかしですねー、今年はとにかく日本メーカーが世界のレースで赤っ恥をかき続けてる年でして、トヨタはWECでこてんぱんにやられ、ホンダはF1でビリを走り、インディ500でシボレーに完敗、ニッサンはル・マンで鈍亀・・・といいところなしです。

巡り合わせっていえばそれもあるんでしょうが、どうも日本のメーカー各社のレースへの取り組み方から「本気」を感じないんですよね。何がどうしてでも勝ちたいという狂った感情が読み取れません。あたかも「必要」だからレースをしているような。何が何でもやってやるという気迫を感じません。そう、まるで日本メーカー全部が「中嶋一貴」になったかのような。なんだかなー。いや、一貴はあれが個性だからいいんだけど、チーム全体が「一貴」になっちゃいかんわけですよ。

うーん・・・と、なんだかもやもやした気持ちになったル・マンなのです。何はともあれ、ポルシェの17年ぶりの17回目の優勝については、素直におめでとうです。素晴らしい!

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