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キミとは致命的なズレがある/赤月カケヤ

読んだ本の感想が溜まっています・・・

さて、以前に感想を書いた「こうして、彼は屋上を燃やすことにした」と同じ第5回のガガガ大賞で優秀賞を取ったのが本作。表紙とタイトルに惹かれて前評判は知らずに読み始めました。この絵はかなりクるね。好みのキャラなんだけど、読了後に見るとこれがなんとも言えない苦い感じに(笑)

もちろん著者のデビュー作なんですが、文章の構成力は見事です。なかなかに技があり、久しぶりに硬派なミステリーを読んだ感じ。ちなにに全然ラノベじゃない。なんか、ガガガの受賞作はそんなんばっかだな・・・

幼い頃の記憶を失っている主人公に届く不幸の手紙。それも、だんだんと自分以外には届けることが不可能なシチュエーションに届きだします。手紙の差出人は誰か。主人公は自分が二重人格者で手紙を書いているのは、もう一人の自分ではないかと気づき始めます。
では、もう一人の自分は何をしているのか、何が目的なのか・・・

主人公がこういう状況なので正しいミステリーとしては難ありなのですが、登場人物が内声では嘘をついていないというミステリーのルールはきちんと守っていますし、主人公がどういう状態なのかについては反則気味ですが、それでもちゃんと伏線という形で暗示はされているので

「この主人公に見えていることは、本当にあったことなのか?」

と推理しながら読むと楽しいです。ちゃんとした叙述トリックですね。

読了後は、後味の悪い結末に苦い気持ちになりながら、タイトルの「ズレ」とは誰の何とのズレなのか考えるわけですが、二重、三重に読み取れる内容になっていて感心させられました。ネタ的にちょっとメジャーになれないのでしょうがないのかもしれませんが、大賞の「こうして、彼は~」より作家としての技術では遙かに上ですね。自作に期待です。あ、あと、ワカメうどんはいらなかったです(笑)

ちなみに、応募時のタイトルと著者名は、

『From~とある不幸の手紙』/名前で悩むくらいならまずカケヤ

あー、それではダメだな(笑)

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