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ブラックホール戦争/レオナルド・サスキンド

「ブラックホール戦争」と聞くとなんだか中二病まるだしのSF小説のタイトルみたいですが、副題に「ホーキングとの闘い」とあるように、作者ばバリバリの理論物理学者さんです。

さて、私がいたいけな中学生だったころに読みあさったNewtonによれば、物事の根源を解き明かすという究極の物理学の目的はどの程度果たされていたかといえば、この世には4つの力(重力・電磁気力・強い力・弱い力)と6種類のクォーク、6種類のレプトンから出来ているという話で、物理学の究極の目標はこれらを司る統一した理論を打ち立てること。とりあえず、水と油の相対論と量子力学の統一が夢。

かの有名なアルバート・アインシュタインは相対性理論を作った男であり、量子力学のきっかけになった光電効果でノーベル賞を獲った偉大な物理学者であり、この統一理論の夢の前に潰えたと。
そんな感じ?

そして、高校生ぐらいの時にホーキングが有名になりました。スティーヴン・ホーキングといえば生きながらにして伝説の科学者。スタートレックに本人役で出てしまうぐらいの有名人(笑)です。彼のもっとも有名な発見は、そこから何も出てこられないというブラックホールもエネルギーを発散し、ついには蒸発してしまうことを示したことです。

著者のサスキンドは、ホーキングの説明を聞いて愕然とします。ブラックホールはエントロピーを持ち(つまり、ブラックホールは飲み込んだものの熱力学的な情報を持ち続ける)ますが、蒸発して綺麗サッパリなくなった後には飲み込んだエントロピーがどこかへ行ってしまうと言うのです。これはつまり熱力学の基本的な法則が破れたということです。大変です!

・・・が、まあ、理学部物理学科を出た理学修士の私にも、どれほどの大事件かさっぱり(笑)

最終的にこのホーキングの議論は誤りで、サスキンドはそれを証明するのですがその過程で物語はブラックホールに対する相補性とホログラフィック原理へたどり着きます。そこまでにサスキンドは、二つの相対論と量子論、熱力学と統計力学、量子色力学とひも理論と高校で習うの物理学を越えた理論物理学のエッセンスを全て網羅して説明していきます。エントロピーの部分が少し判りにくいのと、ひも理論の辺りになると話が抽象的すぎて何がなにやらさっぱりになりますが、現代の物理学(というか20世紀の物理学全体)が何を相手にしてきたのかの概観を得るにはこれほど素晴らしい本もありません。そして、それがメインの物語のもと、一本に繋がっているのですから!

常に手元において、何度もじわじわといろいろなところを昔の教科書と並べて楽しんで読みたいなと思いました。特に、熱力学はちゃんとやり直したいなあ。

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