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紫色のクオリア/うえお久光

ラノベ作家に「ロボットと女の子」というテーマで何か書いてくださいと依頼したとしましょう。ありがちです。見え見えです。ほら、表紙は可愛い女の子です。

・・・が、普通は「自分以外の人間がすべてロボットに見えるゆかりという女の子」の話になるとは思いますまい。乗りません。操りません。友達にもなりません。

・・・いや、ラノベのネタ的にはちょっちハイブローですが、SF的にはそれほどぶっ飛んだ設定ではありません。ゆかりが単にビョーキの可哀想な女の子ってことじゃつまらないので、実は人類は既に肉体を捨てた未来の話で、脳は自分たちの姿を昔の人間の様に認識しているが、ゆかりには本当の姿が見えているなんてのがSFっぽいですね。

・・・ぐはっ、なんつーオチだ。確かにゆかりの見ている世界はある真実を表しているんですが、こりゃまたなんと珍妙な。凄いな、この話・・・というのが、雑誌に掲載された前半パート。

書き下ろしの後半パートは、前半パートでゆかりによって新たな力を得た主人公が神へと至る話です。ええっ?(笑)

冒頭で、「夢オチになります」と宣言しているんですが、いや、こんな激しい夢オチがあるかいな。着想はおそらくグレッグ・イーガンの「万物理論」だと思いますが、あのねえ、「ロボットと女の子」ってお題でTOEやりますか、ふつー。主人公が完全に人間止めてますけど・・・

イーガンの「万物理論」を読むのは大変ですが、この本は普通のラノベ並にさくっと読めて、かつ、かなり近いクラクラ感を味わえます。ある意味、「ゲーム的リアリズム」のど真ん中ストライクの話でもありますし、これが新世代のSFの王道とすら言えるかもしれません。各所でべた褒めですが、私もこれはオススメ。特に、SF慣れしてない人に勧めます。

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