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香水/パトリック・ジュースキント

革命前の18世紀のパリに、人並み外れた嗅覚を持つ主人公グルヌイユは生まれます。

グルヌイユにとってはどんな匂いもそれを嗅ぐこと自体が快感。全てのものの匂いをかぎ分け、体臭から感情まで見抜く嗅覚の持ち主ですから、「匂いの本」とも言うべき香水の世界に足を踏み入れるのも必然です。

そして、ある日、ひとつの匂いにグルヌイユは陶然となります。匂いを辿ってたどり着いた先で、それはまだ女になりきっていない一人の少女の立てるものだと知りました

娘の肩の汗、油くさい髪、性器からにおい立つ魚の匂い。途方もなく快い匂いだった。娘の汗は海風のように初々しく、髪の生えぎわはクルミ油の匂いと似ていた。性器の辺りは百合の花束。肌は杏子の花の香りがした・・・これらすべての要素を組み合わせたとき、ようやくこんなにも豊かな、こんなにもバランスのいい、摩訶不思議な芳香が生じる。これまで彼が香水として嗅いできて、ひそかに匂いの貯蔵部屋でつくり出したつもりになっていたもの、そのすべてが突如として無意味きわまるものに下落した。

変態です。間違いなく変態です。でも、この後の彼の辿った道は間違いなく変人ですが、ストイックで波瀾万丈。サブタイトルに「ある人殺しの物語」とあるとおり、この変態さんは最後には本懐を遂げちゃうわけですが、ラストも思っても見ない結末になります。

何より、このグルヌイユがヘンだけど魅力的。そして、彼の人生に登場する人物、幼いグルヌイユを預かってすぐに放り出すテリエ神父、乳母のマダム・ガイヤール、無能の香水師バルディーニ、愛すべき学者バカのタイヤード侯爵、娘を守ろうとするアントワーヌ・リシ。どの人物もこれまた魅力的です。

変態さんが出てくる、それも殺人鬼が出てくる小説となるとなんともいやーな読了感があったりするんですが、なぜか最後は痛快です。これは面白い。ある意味で、エスパーの話なんですよ。我々に持ってない感覚・能力を持った主人公なんで。その人物が何を成し遂げ、その過程でどういう運命に会い、どんな最期を遂げるのか。是非、楽しんで下さい

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