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心はプログラムできるか/有田隆也

文化系トークラジオLifeの年末の放送「文化系大忘年会」で紹介されていた本。サイエンス・アイ新書です。ダメな本ばかり出た新書ブームの中で、サイエンス・アイ新書の創刊は明るいニュースでした。老舗の講談社ブルーバックスにも頑張っていただきたい。

さて、この本は進化生物学の本です。それも、計算機シミュレーション上の人工生命を持ちいて、進化を研究しています。ダーウィンの進化論のキモは「突然変異」と「自然淘汰」です。計算機上で、そのプログラムの動作に無作為な変更が起きる様にし、そのプログラムがある設定範囲での動作において数値で表せる適用度を定義して、その適用度に応じてプログラムが「生き残る」かどうかという淘汰手順を繰り返すことにより、「ある理想化された進化」をシミュレートさせることが出来ます。

そうして、そのシミュレートからデカルト的還元論では分析不可能な何かを見てとることができるのではないか。我々、地球上の生物の上に起こった進化もそのような非還元主義的な(この中では「創発的」という言葉を使っています)ものなのではないかと考え、初めて進化を「科学」として扱う(つまり、実験検証可能なもの)として扱うことができるのではないかという本です。

人工生命による進化のシミュレーションという発想自体も聞き慣れない人には面白い概念だと思いますが、私は、一応、計算機で飯を食っている人間なので、ライフゲームの基礎的な話は聞きかじったことがあります。しかし、人工生命を道具として使ってどうい成果が出てきているかということに関してはまったく無知だったので、本書の後半はかなり興奮して読みました。感情と社会性のような心の動きもある程度、人工生命でのシミュレーションで論じる事が出来ます。どんなパラメータをどう置いて、適用をどう定義するかという技法の問題もさることながら、結果が面白い。なるほど、これはなかなかに興味深い本ですね。

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