華氏911
言わずとしれた、今年のパルムドール
何を期待していたんだと言われるかもしれないけど、見たら予想に反して落ち込んでしまった。もっと「権力者をおちょ食った、過激で痛快なドキュメンタリィ」みたいなものかと思っていたら、イラク戦争のあまりのせつなさに絶望的な気持ちになってしまった。
民主主義の親玉を標榜しながらすっころんだ選挙システムだの、金儲け主義の腐敗構造だの、ブッシュのリーダーとしての無能ぶりだのは、なんだかんだ言っても余所の国のことである。火の粉はガンガン降りかかるとはいえ、他人事。辛辣に批判してやればいい。
でも、イラク戦争はいかん。あまりにもいかん・・・。どこにも救いがない。誤解を招く表現かもしれないが、これで「イラク人皆殺しで、アメリカ人はもうウハウハ」とかなら、喜んでる人がいるんだからまだ救いがある。別の例えで言えば、「二股かけてた男が、突如、包丁を持った女に滅多刺しで原型をとどめない」は、まあ、なんか刺しちゃった方は一瞬スッキリしたかもしれないから、まだ救いがある。けど、「夏が暑すぎて常軌を逸した男に、通行中のOLが滅多刺し」は、どうにも切なすぎる。よーするに、何がしたいんか、わからん・・・
途中で、イラクで戦死した兵士のお母さんが出てくる。可哀想だ。とてもとても可哀想だ。でも、この人の可哀想具合は、果たしてイラク戦争と、もっと他の意義(≠正義)のある戦争だったとして、変わるだろうか?変わるんだと意図して、監督はこのシーンを入れているんだと思う。でも、ぴんと来なかった。それぐらい、イラク戦争は酷くて訳が分からない・・・。
うーん、なんなんだろう、この違和感は。ブッシュがアホで欲張りのダメ大統領だから、こんな無意味な戦争が起きているんだろうか?何が間違っているんだろう。ブッシュ大統領にこの戦争を今すぐやめる権限があることは確かだ。ただ、今、この状況でそれは正しいことなんだろうか?そして、ブッシュを選ばないことによって、アメリカ国民にこの戦争を止めることは出来たんだろうか?選挙システム的に、そして、もっと大きな視点でも
んー、なんだかなあ・・・???
まあ、見終わってスッキリ疑問が氷解するようなものは、それはそれでマズいとも思うんだけどね
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